日本独立

12.18(金)TOHOシネマズ シャンテにて公開絶賛公開中

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イントロダクション

終戦直後、絶対的権力のGHQによる占領下の日本で、のちの首相・吉田茂が日本の再出発のために呼び寄せたのは、実業の第一線を退いて、郊外で農業に専念していた一人の男だった。
その名は白洲次郎。流暢な英語を話し、せっかちで喧嘩っ早く、いかなる時でも物事の筋を通す男。そして彼は、吉田茂の右腕としてGHQとの交渉の最前線で辣腕を振るい、GHQをして「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめることになる。“勝ち目のない”現実に直面して苦悩しながらも、可能性を追求し続け、GHQとの交渉の場で戦い抜く姿には、きっと魂が揺さぶられることだろう。そんな熱くて人間くさい白洲次郎を体現するのは、ハリウッドでも活躍、国内外で高く評価される俳優・浅野忠信。
そして、冷徹な視点をもって未来を見据え、占領下にある日本の独立への道を切り開いていく政治家・吉田茂に扮するのは、小林薫。マッカーサーとも渡り合う度胸満点の政治家の顔と共に、短気で包容力があってユーモアのある人間・吉田茂を魅力的に演じる。
さらに、白洲次郎の性分を知り尽くしている理解者で、能や工芸に造詣が深く、のちに随筆家として名を成す妻・正子を、はつらつと、そして凛とした佇まいで演じるのは、宮沢りえ。
他に、国務大臣・松本烝治を演じる柄本明、内閣総理大臣・幣原喜重郎役の石橋蓮司、元内閣総理大臣・近衛文麿役の松重豊、戦艦大和からの生還者・吉田満役の渡辺大、その母・ツナ役の浅田美代子をはじめ、伊武雅刀、佐野史郎、大鶴義丹、青木崇高、梅宮万紗子、野間口徹といった錚々たる俳優陣が、重厚な人間ドラマを繰り広げる。ナレーションを務めるのは奥田瑛二。
監督は、『プライド 運命の瞬間』(98)、『ロストクライム -閃光-』(10)を手掛けた社会派の名匠・伊藤俊也。吉田茂と白洲次郎の絆を軸に、終戦から憲法制定、独立に至る歴史の裏側のドラマを、日本側とアメリカ側の両方の視点から、歴史に基づくイマジネーションを交えてスリリングに描き出した。
互いに本音で激論を交わしながら、GHQと渡り合い、国の難局に立ち向かう吉田と白洲。二人にあったものは、時代や状況がどうあろうと変わらぬ人としての誇り高さ。今、私達は、コロナ禍という経験したことのない危機に直面し、社会や経済に対する不安の中に生きている。現実を冷静に見つめ、未来を見据えて戦った先人達の思いや覚悟は、先の見えない時代を生きる私達への熱いメッセージになることだろう。

ストーリー

1945年8月15日、第二次世界大戦終戦。日本は、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の占領下に置かれた。連合国最高司令官マッカーサーが厚木に降り立ち、GHQは第一生命ビルに拠点を置いた。正装の昭和天皇とラフな格好のマッカーサーが並んだ写真が新聞に掲載されると、国民は、敗戦の事実に改めて衝撃を受けた。

終戦直後に外務大臣に就任した吉田茂は、日本の再出発のため、旧知の仲である白洲次郎を呼び寄せる。彼は、ケンブリッジ大学の留学経験を持ち、抜群の英語力を備え、いかなる時でも筋を通す男。開戦前から既にアメリカとの戦争の敗戦を予測していた彼は、数年前に実業の第一線を退いて、東京郊外に移住し、農業に専念していた。
吉田は白洲に、GHQとの交渉役、終戦連絡事務局の仕事を託す。吉田は言う。「占領はすぐに終わる。だが、その間の対応を日本が間違えると、一度負けたどころか、二度も三度も負けることになる」。
その言葉を胸に、白洲は、交渉の最前線に身を置いた。彼の堂々とした態度は、GHQの度肝を抜いた。マッカーサーの側近でGHQ民政局長ホイットニーから流暢な英語を褒められると、白洲はこう返した。「あなたも、少し勉強なされば、すぐに上達なさいますよ」。

GHQは、日本の民主化と非武装化を求めて、占領政策に着手していく。間接統治とはいえ、GHQの力は絶対的だった。戦争犯罪人の逮捕が始められ、憲法の民主化が示唆された。国務大臣・松本烝治は、憲法問題は内閣の仕事であるという主張のもと、憲法学者を集めて、憲法改正に取り組んでいく。
だがそんな時、日本政府が想像し得なかったことが起きる。GHQ自らが、憲法草案作成の極秘プロジェクトを組んだのだ。ソ連に介入の余地を与えぬよう、ソ連が参加する極東委員会が発足する前に憲法草案を仕上げてしまうためだった。さらにGHQは、その憲法を日本が作ったものとして世界に公表しようと考えていた。草案完成までの期限は1週間。そのメンバーに憲法学者はいなかった。
そして1946年2月13日、外相公邸を訪れたGHQ民生局長ホイットニーは、外務大臣・吉田、国務大臣・松本、白洲らを前に、松本による憲法案は容認できるものではないと告げ、GHQ自らが作成した憲法草案を手渡す。呆然とする日本側。草案には、天皇を象徴とする条項と戦争放棄の条項が記されていた。
他国主導で自国の憲法が作られる、という国の危機に直面し、白洲は、日本側の考えへの理解を求めてGHQとの交渉の場に立ち続ける。勝ち目のない現状に苛立つ彼に、吉田は、本音を明かす。「従うふりしてやり過ごす。早くGHQに退散してもらって、早く独立することだ。独立すれば、また憲法も変えられる」。
だが、何とかしてGHQとの“戦い”における可能性を追求しようと懸命な白洲は、そんな冷静な吉田に激論を吹っ掛け、怒りをぶつけるのだった。
一方、GHQ案をめぐり、閣議も紛糾していた。激高する松本。「自衛権すら持たないで、それを国家と言えるのか!」。
そんな中、深夜、吉田は白洲を伴い、密かにある場所に向かう。彼の胸には、一刻も早く日本の独立を勝ち獲ろうとする強烈な思いと、それに伴う覚悟があった・・・。

GHQ案をもとに憲法の改正を進めるべく、日本政府に強硬に迫る絶対権力のGHQ。日本としての意志を尊重した新憲法を目指すべく、国の威信をかけて抵抗する日本政府。
期限を切られて緊迫した状況の憲法改正の現場に身を投じ、白洲はGHQと対峙する。果たして、最後まで戦い抜こうとする白洲の、その熾烈な“戦い”の行方は?そして、吉田茂が白洲次郎と共に見据えた日本の未来とは?

キャスト&監督

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  • 浅野忠信/白洲次郎

    1973年生まれ。『バタアシ金魚』(90:松岡錠司監督)で映画デビュー。以降、国内外の作品に多数出演。08年に主演作『モンゴル』(セルゲイ・ボドロフ監督)が米国アカデミー賞®️外国語映画賞にノミネートされ話題となる。11年に『マイティ・ソー』(ケネス・ブラナー監督)でハリウッドデビュー、続編(13・17)にも出演。『私の男』(14:熊切和嘉監督)でモスクワ国際映画祭最優秀男優賞を受賞。以降の主な出演作に『寄生獣』シリーズ(14.15:山崎貴監督)、『岸辺の旅』(15:黒沢清監督)、『母と暮らせば』(15:山田洋次監督)、『淵に立つ』(16:深田晃司監督)、『沈黙-サイレンス-』(17:マーティン・スコセッシ監督)、『新宿スワンⅡ』(17:園子温監督)、『幼な子われらに生まれ』(17:三島有紀子監督)、『アウトサイダー』(18:マーチン・サンフリート監督)、『パンク侍、斬られて候』(18:石井岳龍監督)、『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(20:大林宜彦監督)、『ミッドウェイ』(20:ローランド・エメリッヒ監督)などに出演。日本を代表する国際派俳優として活躍を続ける。公開待機作に『Minamata(原題)』(21:アンドリュー・レヴィタス監督)など。

  • 宮沢りえ/白洲正子:次郎の妻

    1973年生まれ。11歳でモデルデビュー。初主演映画『ぼくらの七日間戦争』(88:菅原比呂志監督)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。香港映画『華の愛〜遊園驚夢』(02:ヨン・ファン監督)ではモスクワ国際映画祭主演女優賞に輝く。『たそがれ清兵衛』(02:山田洋次監督)、『紙の月』(14:吉田大八監督)、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16:中野量太監督)では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ、数々の映画賞を総なめにした。昨年公開された『人間失格 太宰治と3人の女たち』(19:蜷川実花監督)で5度目となる日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞したのも記憶に新しい。その他の主な映画出演作に、『父と暮せば』(04:黒木和雄監督)、『花よりもなほ』(06:是枝裕和監督)、『オリヲン座からの招待状』(07:三枝健起監督)など。
    舞台でも高く評価され、第25回読売演劇大賞では、「足跡姫 〜時代錯誤冬幽霊〜」(作・演出:野田秀樹)、「クヒオ大佐の妻」(作・演出:吉田大八)、「ワーニャ伯父さん」(演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)の演技によって、大賞と最優秀女優賞のW受賞という快挙を成し遂げた。

  • 小林薫/吉田茂

    1951年生まれ、京都府出身。1971年〜80年まで唐十郎主宰の状況劇場に在籍。退団後、映画、ドラマ、舞台、CM、ナレーションと幅広く活躍する。『はなれ瞽女おりん』(77:篠田正浩監督)で映画初出演、『十八歳、海へ』(79:藤田敏八監督)で報知映画賞新人賞を受賞する。『恋文』(85:神代辰巳監督)『それから』(85:森田芳光監督)で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。なお、『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン』(07:松岡錠司監督)でも再度日本アカデミー賞最優秀助演男優賞に輝いている。2009年よりスタートしたテレビドラマ「深夜食堂」シリーズでは深夜営業の食堂のマスター役で主演をつとめたが、同ドラマは海外での放送やリメイクでも人気を博し、劇場版として『深夜食堂』(15:松岡錠司監督)『続・深夜食堂』(16:松岡錠司監督) が作られたほか、Netflixオリジナルドラマとして配信されるなど広く展開している。主な出演作に映画『歓喜の歌』(08:松岡錠司監督)『舟を編む』(13:石井裕也監督)『旅立ちの島唄〜十五の春〜』(13:吉田康弘監督)『キセキ -あの日のソビト-』(17:兼重淳監督)『武曲 MUKOKU』(17:熊切和嘉監督)『ナミヤ雑貨店の奇跡』(17:廣木隆一監督)『泣き虫しょったんの奇跡』(18:豊田利晃監督)『夜明け』(19:広瀬奈々子監督)『ねことじいちゃん』(19:岩合光昭監督)、ドラマ「ふぞろいの林檎たち」(83~85)「ナニワ金融道」シリーズ(96~)「Dr.コトー診療所」(03~06)、NHK連続テレビ小説「カーネーション」(11)、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(17)「知らなくていいコト」(20)「コタキ兄弟と四苦八苦」(20)また、2021年度大河ドラマ「青天を衝け」などがある。

  • 柄本明/松本烝治:国務大臣

    1948年生まれ。76年、劇団東京乾電池を結成、座長を務める。『カンゾー先生』(98:今村昌平監督)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞。以降、『座頭市』(03:北野武監督)、『やじきた道中 てれすこ』(07:平山秀幸監督)、『悪人』(10:李相日監督)をはじめ数々の作品で様々な映画賞を受賞。映画のみならず、舞台やドラマにも多数出演し、2011年には紫綬褒章、2019年には旭日小綬章を受勲した。近年の主な出演作に、『万引き家族』(18:是枝裕和監督)、『居眠り磐音』(19:元木克英監督)、主演作『ある船頭の話』(19:オダギリジョー監督)、『楽園』(19:瀬々敬久監督)など。公開待機作に、『燃えよ剣』(原田眞人監督)、『名も無き世界のエンドロール』(21:佐藤祐一監督)など。

  • 渡辺大/吉田満:「戦艦大和ノ最期」の著者

    1984年生まれ。「壬生義士伝~新選組でいちばん強かった男~」(02:テレビ東京)で俳優デビュー。以降、ドラマや映画に活躍、現代劇から時代劇まで幅広く演じることから高い評価を得ている。『ウスケボーイズ』(18:柿崎ゆうじ監督)では、マドリード国際映画祭、及びアムステルダム国際フィルムメーカー映画祭にて最優秀主演男優賞を受賞。主な映画出演作に、『男たちの大和/YAMATO』(05:佐藤純彌監督)、『ラストゲーム 最後の早慶戦』(08:神山征二郎監督)、『ロストクライム -閃光-』(10:伊藤俊也監督)、『臨場 劇場版』(12:橋本一監督)、『空飛ぶタイヤ』(18:本木克英監督)、『散り椿』(18:木村大作監督)など。公開待機作に『峠 最後のサムライ』(21:小泉堯史監督)。

  • 浅田美代子/吉田ツナ:満の母

    1956年生まれ。約25,000名のオーディション参加者から選ばれて、テレビドラマ「時間ですよ」第三期(73:TBS)でデビュー。以降、「寺内貫太郎一家」(74:TBS)、「さくら」(02:NHK)など、多くのドラマに出演。主な映画出演作に、『釣りバカ日誌』シリーズ(94~09:栗山富夫監督/本木克英監督/朝原雄三監督)、『佐賀のがばいばあちゃん』(06:倉内均監督)、『歓喜の歌』(08:松岡錠司監督)、『きな子~見習い警察犬の物語~』(10:小林義則監督)、『ツナグ』(12:平川雄一朗監督)、『0.5ミリ』(14:安藤桃子監督)、『あん』(15:河瀨直美監督)、『エリカ38』(19:日比遊一監督)、『朝が来る』(20:河瀨直美監督)など。

  • 松重豊/近衛文麿:元内閣総理大臣

    1963年生まれ。『地獄の警備員』(92:黒沢清監督)で映画デビュー。以降、数多くの映画、テレビで活躍。『しゃべれども しゃべれども』(07:平山秀幸監督)で毎日映画コンクール男優助演賞受賞。『ディア・ドクター』(09:西川美和監督)でヨコハマ映画祭助演男優賞受賞。近年の主な映画出演作に、『アウトレイジ 最終章』(17:北野武監督)、『検察側の罪人』(18:原田眞人監督)、『コーヒーが冷めないうちに』(18:塚原あゆ子監督)、『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』(19:細川徹監督)、『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』(20:成島出監督)、『糸』(20:瀬々敬久監督)、『罪の声』(20:土井裕泰監督)など。公開待機作に『老後の資金がありません!』(21:前田哲監督)。

  • 石橋蓮司/幣原喜重郎:内閣総理大臣

    1941年生まれ。劇団若草、劇団青俳、現代人劇場などを経て、劇団第七病棟を主宰。演劇、映画、ドラマにおいて強い個性と演技力で異彩を放つ。降旗康男、熊井啓、市川崑といった巨匠達の作品で、そして阪本順治、三池崇史、行定勲、堤幸彦、北野武といった次世代の監督達の作品においても無くてはならない存在に。『浪人街』(90:黒木和雄監督)、『われに撃つ用意あり』(90:若松孝二監督)で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞。数々の賞を受賞した『今度は愛妻家』(10:行定勲監督)、『アウトレイジ』(10:北野武監督)などの他、近年の出演作に『キングダム』(19:佐藤信介監督)、『一度も撃ってません』(20:阪本順治監督)など。公開待機作に『大コメ騒動』(21:本木克英監督)など。

  • 伊武雅刀/芦田均:厚生大臣

    1949年生まれ。アニメ「宇宙戦艦ヤマト」(74:日本テレビ)のデスラー総統の声をはじめ声優・ナレーターとして活動。76年より、ユニット“スネークマンショー”がラジオ番組等で人気を博す。『ウィークエンド・シャッフル』(82:中村幻児監督)で映画デビュー。主な映画出演作に、『太陽の帝国』(88:スティーヴン・スピルバーグ監督)、『カンゾー先生』(98:今村昌平監督)、『突入せよ!「あさま山荘」事件』(02:原田眞人監督)、『ゆれる』(06:西川美和監督)、『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』(09:根岸吉太郎監督)、近年の作品に、『のみとり侍』(18:鶴橋康夫監督)、『カイジ ファイナルゲーム』(20:佐藤東弥監督)など。

  • 佐野史郎/美濃部達吉:憲法学者

    1955年生まれ。75年、劇団「シェークスピア・シアター」の創設メンバーに。80年から84年まで状況劇場に在籍。『夢みるように眠りたい』(86:林海象監督)の主演で映画デビュー。近年の主な映画出演作に、『チーム・バチスタの栄光』(08:中村義洋監督)、『はやぶさ/HAYABUSA』(11:堤幸彦監督)、『千年の愉楽』(13:若松孝二監督)、『オー!ファーザー』(14:藤井道人監督)、『なりゆきな魂、』(17:瀬々敬久監督)、『Fukushima 50』(20:若松節朗監督)、『おかあさんの被爆ピアノ』(20:五藤利弘監督)、公開待機作に『騙し絵の牙』(21:吉田大八監督)など。伊藤俊也監督作品では、ドキュメンタリー映画『映画監督って何だ!』(06)に出演。

  • 大鶴義丹/楢橋渡:内閣法制局長

    1968年生まれ。高校時代よりテレビドラマに出演。『首都高速トライアル』(88:金澤克次監督)の主演で映画デビュー。主な映画出演作に、『プライド 運命の瞬間』(98:伊藤俊也監督)、『秘祭』(98:新城卓監督)、『HAZAN』(04:五十嵐匠監督)、『お墓に泊まろう!』(10:伊藤隆行監督)、『トテチータ・チキチータ』(12:古勝敦監督)、『希望の国』(12:園子温監督)、『超高速!参勤交代 リターンズ』(16:本木克英監督)など。公開待機作に『めぐみへの誓い』(21:野伏翔監督)。『となりのボブ・マーリィ』(95)で映画監督デビュー、これまでに6本の劇場用映画を監督する。大学在学中の90年に「スプラッシュ」でスバル文学賞を受賞、小説家としての顔も持つ。

  • 青木崇高/小林秀雄:文芸評論家

    1980年生まれ。『バトル・ロワイアルⅡ~鎮魂歌~』(03:深作欣二監督・深作健太監督)でデビュー。ドラマ「繋がれた明日」(06:NHK)で初主演。主な映画出演作に、『一命』(11:三池崇史監督)、『るろうに剣心』シリーズ(12,14:大友啓史監督)、『渇き。』(14:中島哲也監督)、『蜩ノ記』(14:小泉堯史監督)、『雨にゆれる女』(16:半野喜弘監督)、『モリのいる場所』(18:沖田修一監督)、『来る』(18:中島哲也監督)、『サムライマラソン』(19:バーナード・ローズ監督)、『おらおらでひとりいぐも』(20:沖田修一監督)、公開待機作に『HOKUSAI』(21:橋本一監督)、『るろうに剣心 最終章The Final/The Beginning』(21:大友啓史監督)など。

  • 梅宮万紗子/麻生和子:吉田茂の三女

    1977年生まれ。「研修医なな子」(97:テレビ朝日)で俳優デビュー。以降、「サラリーマン金太郎2」(00:TBS)、「ゴールデンボウル」(02:日本テレビ)、「ランチの女王」(02:フジテレビ)、「メモリー・オブ・ラブ」(04:TBS)、「仮面ライダー響鬼」(05~06:テレビ朝日)、「松本清張 けものみち」(06:テレビ朝日)、「華和家の四姉妹」(11:TBS)など、多くのテレビドラマに出演。主な映画出演作に、日韓合作映画『サウラビ』(02:ムン・チョングム監督)、『恋に唄えば♪』(02:金子修介監督)、『劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』(05:坂本太郎監督)、『亜人』(17:本広克行監督)など。

  • 野間口徹/昭和天皇

    1973年生まれ。大学在学中に演劇活動開始。99年にコントユニット「親族代表」を結成、不定期に公演を行う。「SP 警視庁警備部警護課第四係」(07:フジテレビ)をきっかけに次々と様々な作品に出演。主な映画出演作に、『シン・ゴジラ』(16:庵野秀明総監督)、『海賊とよばれた男』(16:山崎貴監督)、『キセキ-あの日のソビト-』(17:兼重淳監督)、『北の桜守』(18:滝田洋二郎監督)、『響-HIBIKI-』(18:月川翔監督)、『愛唄 -約束のナクヒト-』(19:川村泰祐監督)、『AI崩壊』(20:入江悠監督)、『きみの瞳が問いかけている』(20:三木孝浩監督)、『461個のおべんとう』(20:兼重淳監督)、『サイレント・トーキョー』(20:波多野貴文監督)など。

  • 奥田瑛二/語り

    1950年生まれ。映画『もっとしなやかに もっとしたたかに』(79:藤田敏八監督)で主役に抜擢される。『海と毒薬』(86:熊井啓監督)で毎日映画コンクール男優主演賞受賞。主演作『千利休 本覺坊遺文』(89:熊井啓監督)がベネチア国際映画祭銀獅子賞受賞。『棒の哀しみ』(94:神代辰巳監督)でブルーリボン賞をはじめ数々の主演男優賞を受賞。伊藤俊也監督作品では『プライド 運命の瞬間』(98)、『ロストクライム-閃光-』(10)に出演。近年の出演作に、『洗骨』(19:照屋年之監督)、『Diner ダイナー』(19:蜷川実花監督)、『10万分の1』(20:三木康一郎監督)など。自身の監督第3作目『長い散歩』(06)は、モントリオール国際映画祭でグランプリを含む3冠に輝く。

  • 伊藤俊也/監督

    1937年生まれ。『女囚701号さそり』(72)で監督デビュー。大ヒットとなってシリーズを生み、『女囚さそり 第41雑居房』(72)、『女囚さそり けもの部屋』(73)を監督する。その後、『誘拐報道』(82)を監督し、モントリオール世界映画祭審査員賞を受賞、国内外で高く評価される。認知症を患う老人を抱えた家族のドラマを描いた『花いちもんめ。』(85)は、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。東條英機を主役に東京裁判の全貌を描いた『プライド 運命の瞬間(とき)』(98)は賛否両論渦巻く社会的話題作となった。その他の監督作品に、『犬神の悪霊』(77)、『白蛇抄』(83)、『花園の迷宮』(88)、『風の又三郎 ガラスのマント』(89)、アニメーション映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』(95:総監督)、日本映画監督協会70周年記念映画『映画監督って何だ!』(06)、『ロストクライム-閃光-』(10)、『始まりも終わりもない』(13)など。

プロダクションノート

撮影:吉田茂と白洲次郎、白洲正子

吉田茂という人物を演じるにあたり、小林薫は、特殊メイクでその外見を“吉田茂”に変えた。「あまりにも顔付きが違うと、こりゃ吉田茂じゃないよ、となってしまうのもなかなかやり難いな、と思い、『とりあえず吉田さんにして下さい』と言ったんです。見た目から入ったというところはあるかもしれませんね」と笑う。
GHQをして「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた主人公・白洲次郎を演じる浅野忠信は、本作への参加の理由を、「あの当時にいち早く世界に目を向け、語学にも長けており、外国の方とも対等にやり合った白洲次郎さんへの興味」だと語る。ダンディで生き方も魅力的な白洲次郎という人物を演じることにワクワクしたという彼は、「白洲さんの情熱やピュアな面に想像を膨らませて役作りをしました」。そして、「白洲さんの熱い生き方から何か受け取っていただけたら嬉しいです」とメッセージを送る。
憲法改正をめぐるGHQとの“戦い”のドラマの中で浮彫になるのは、親子ほども年の違う吉田と白洲の人間的な絆。吉田役の小林薫は、メイクを施した外見からその内面まで常に“吉田茂”その人として撮影現場に存在し、強い存在感を放っていたと浅野は言う。そして、白洲と吉田の信頼関係や仲の良さが表れるいくつかの印象的なシーンの中で、「“喧嘩”のように激論を交わすシーンは、二人が本当に心を許し合っているのだなと思いました。小林さんは僕が熱さをぶつければ、さらに強い熱さや説得力で跳ね返してくれました」と振り返る。

一方で、白洲次郎と正子の夫婦の姿が描かれるのも本作の魅力の一つ。
浅野忠信は、「宮沢りえさんは、完璧に白洲さんの奥さんでした」と称賛する。「宮沢さんの大胆な生き方は正子さんに通ずるところがあると思うので、とても楽しく夫婦のシーンを演じることができました」。
そんな白洲夫妻が暮らす郊外の家や畑は、古い茅葺の家を移築・復元した滋賀県の「葛川かや葺の家」及び神戸の「あいな里山公園」がロケ地となった。白洲邸の調度品に関しては、正子が目利きであった事実を踏まえつつ、当時のものに似た物が揃えられた。
次郎の妻・白洲正子を演じた宮沢りえは、「当時その場所が本当にそこに存在していたんだろうと思うような素敵なロケ場所で撮影をして、そこの空気感に馴染むように自然と正子さんになれたような気がします」と語る。そしてまた、「この脚本を読んで目から鱗が落ちた、という、この感覚が観てくれた人達に伝わりますように」。

本物志向の映画作り

本物志向のコンセプトから、スタジオにセットを組むのではなく、ロケ撮影が選択された。前述の白洲邸のみならず、ドラマの世界観を担うロケ地が選定され、昭和初期やそれ以前の建物が残っている、神戸を拠点とした関西地方で撮影が行われた。たとえば、GHQ本部のエントランスは、吹き抜けの大階段が印象的な大正15年竣工のロマネスク様式の大阪府庁舎。マッカーサーの執務室やGHQ民生局局長室は、明治の面影を残す兵庫県公館。日本の閣僚達が激論を交わす首相官邸の閣議室は、国の重要文化財に指定されている、明治37年竣工のルネサンス様式の京都府庁旧本館で撮影された。そして、GHQから憲法草案を渡されるという衝撃的なドラマが繰り広げられた外相公邸のサンルームと庭は、昭和16年に建てられた数寄屋造近代和風住宅、神戸市の「旧木下家住宅」がロケ地となった。
ロケ地を探すにあたって、最も大変だったのは、白洲夫妻の乗った車が焼け野原となった街を走り抜けるシーンだという。瓦礫の山などはCGで処理するとはいえ、実際に広大で、かつ撮影が可能な場所が必要だった。最終的に、滋賀県の伊吹山にある巨大工場跡地、住友大阪セメント伊吹工場跡がそのロケ地となった。
その他、旧財閥の別邸として昭和9年に建てられた「ザ・ガーデンプレイス蘇州園」(吉田が連行される吉田私邸の門のシーンなど)、昭和初期に建てられた「旧乾邸」(近衛文麿の荻外荘のシーン)、庭園のある和風邸宅「松泉館」(外相公邸の仏間や応接室などのシーン)といった神戸の味わい深い建物が主なロケ地となり、観る者を激動の時代のドラマ世界へと誘っている。

伊藤俊也監督は語る:
映画『日本独立』に込めた思い

小学3年生の時に終戦を迎えた伊藤監督。その1ヶ月前には、生まれ育った福井市で空襲に遭い、そして終戦の3年後には、M7の福井地震から生き延びた。そんな強烈な戦中戦後体験を持つ伊藤俊也監督が、本作の製作の経緯を語った。
「戦後の日本を振り返る時に、アメリカとの関係というのは強く意識せざるを得ないものですが、そういうプロセスの中で、戦後の日本を規定した二大事件は、東京裁判(極東国際軍事裁判)、そしてもう一つが日本国憲法の成立だと考えています。『プライド 運命の瞬間』(98)では、東京裁判がどのようなものであったかを描きました。そして、どうしてももう一つの事件、日本国憲法の成立に関わる映画を作りたいと思い、『プライド 運命の瞬間』を作ってから2~3年経った頃、シナリオを作ったのです。かなり改稿して現在のシナリオになってはいますが、基本的にはその時に作ったものです」。

また、本作のユニークなところは、「戦艦大和ノ最期」を書いた吉田満のエピソードをメインストーリーに絡ませたことだと言う。「『戦艦大和ノ最期』は、美しい文章と戦艦大和の生き残りとしての思い、亡くなった沢山の戦友達への思いが描かれているという意味で、文学的価値や歴史的価値が高いものだと思います。それがGHQの検閲に引っかかって、日本が講和・独立した後にようやく出版が認められた。GHQは言論の自由を謳いながら、その一方で出版させたくないものには徹底的に弾圧を加えた。その両刀使いというのが日本人に今日まである種の誤解を残したポリシーであったと思います。その辺を憲法制定の話と同時に重要なエピソードとして描けたのが、今回ユニークなところだと考えています。本作の中で、「戦艦大和ノ最期」をいち早く文学的に評価した文芸評論家・小林秀雄の台詞にもありますが、軍国主義で検閲されたというよりも、死んでいった日本人と生き残った日本人との絆を断たれたということ。戦前の日本を否定されたところで戦後日本のレールを敷かれて歩まされるという、まさに世界第一の戦略国家アメリカに仕切られて日本の戦後ができてしまった、その無念さというのを吉田満のエピソードで描けたのではないかと思っています」。

コメント

※敬称略、順不同

  • さいとう・たかを(劇画家)

    日本の未来の為に戦勝国アメリカに対して、堂々と渡り合った吉田茂と白洲次郎。歴史の転換期には必ず救世主が登場する。この二人も例外ではない。コロナ禍の中で大変な昨今、この傑物二人がいたなら…。

  • 手嶋龍一(外交ジャーナリスト・作家)

    戦争放棄を謳った新憲法と米軍駐留を認めた安保条約。
    戦後ニッポンは主権の一部を縛られたまま船出した。
    「日本独立」に誘われてあの日々を旅してみよう。

  • 見城徹(株式会社 幻冬舎 代表取締役社長)

    昨日観た映画[日本独立]は圧巻だった。
    敗戦から現在の日本国憲法が制定され、日本が占領下の国から独立国家になるまでを吉田茂、白洲次郎らを中心に克明に描きながら壮大な人間ドラマにもなっている。小林秀雄から吉田満まで登場し、とにかく1分も飽きずに面白い。
    今の日本国憲法がいかにGHQ主導の元に急造されたものか?日本政府側の抵抗や葛藤は如何なるものだったのか?様々な事情を抱え、蛇行しながら日本国憲法はGHQによって見切り発車される。即ちGHQに押し付けられた日本国憲法は直ぐに改正すればいいという日本政府の妥協と戦術による産物だということが良く解る。日本政府は[日本独立]を優先せざるを得なかったのだ。最後まで立ちはだかった松本烝治国務大臣の信念に感動するし、吉田茂や白州次郎らの苦渋の選択にも共感する。伝わって来るのは国を想う男たちの献身と覚悟だ。あれから74年が経った。驚くべきことに日本国憲法は未だ改正されていない。
    一人でも多くの人に観て欲しい。

    [日本独立]は伊藤俊也監督。白洲次郎は浅野忠信、妻の正子に宮沢りえ、吉田茂は小林薫。松本烝治は柄本明。その他豪華キャストが熱演している。現在、公開中。これぞ、映画だ!

    映画[日本独立]は三島由紀夫自決前のバルコニー演説に痛切に呼応している。
    安倍晋三の憲法改正への悲願と無言で抱擁している。
    三島由紀夫と安倍晋三にこの映画を捧げたい。

    ※見城徹氏SNS【755】に投稿された内容にご自身による加筆修正を経て、お寄せいただきました。